不動産を競売し債権の回収がなされるまで

今回は差押えについて紹介したいと思います。

借金をして返済が不能になると、最終的に債権者から「差押え」の手続きが採られることになります。差押えに至る場合は債権額が高額なことが多いため、差押えの対象になるのはほとんどのケースで「不動産」になっています。当然、債務者は不動産を失う可能性が高くなります。不動産の差押えには以下などの効力があります。

不動産の業界用語・差押えにおける処分禁止効

債権者から差押えがなされると、債務者は当該不動産を売却したり、また抵当権を設定したりすることができなくなります。この効力を差押えの「処分禁止効」と言います。仮に、債務者が差押えられた不動産を第三者に売却したとしても、強制競売の効力に対抗することはできません。

例えば、Aさんは所有している土地を差押えられました。ところが、Aさんはその土地を甲さんに売却してしまいました。その後、Aさんの土地は競売にかけられ、Bさんが落札しました。この場合、土地の所有権は先に買い取った甲さんではなく、Bさんが得られることになります。

不動産の業界用語・差押えの効力が及ばない通常使用

不動産が差押えられた場合、処分はできませんが、使用することまで禁止されるわけではありません。民事執行法でも、「差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。」とされています。

例えば、自宅を差押えられたとしても、競売によって処分されるまでは、そのまま自宅で生活することができます。また、店舗の場合は従来通り商売で得た利益は自分のものになりますし、アパートの場合は借主から支払われた家賃を自分の収入とすることができます。

不動産の業界用語・差押えの効力における時効の中断

お金を貸している場合、貸主はお金を返済してもらう権利(債権)を得られますが、債権は永久に権利を執行できるわけではなく、時効があります。ただし、時効には法律上、「中断」「停止」という制度が設けられています。

1.中断
中断とは、時効の期間がリセットされることです。例えば、時効の期間が5年だった場合、4年が経過すると残りは1年になりますが、中断されるとゼロに戻ります。つまり、改めて5年の期間が始まるということです。

2.停止
停止とは、あくまでも時効の期間が停止するだけです。例えば、時効が4年経過した時に停止になった場合、停止期間が終わると、その時点から4年進行した状態に戻ります。

裁判所を通して差押えの処分が下されると、時効が中断されます。一方、債権者が何回債務者に対して口頭や書類で返済を催促しても、時効が中断されることはありません。

不動産の業界用語・差押えの効力を維持する保全処分

差押えが終わったとしても、債務者が差押えられた不動産を損傷させたり、杜撰な管理によって不動産の価値を減少させたりすることが懸念されます。処分禁止効はあくまでも処分をできないようにするだけで、適切な管理までは強制できません。

そこで、債権者は差押えた不動産の価値を確保するため、裁判所に「保全処分」を申立てることができます。申立が認められると、裁判所から債務者に対して、以下の命令が下されます。

・不動産の価値下落行為の禁止命令:建物の破壊行為など
・保全行為の命令:不審者の建物への侵入を阻止する管理など

債務者がこの命令に従わなかった場合は、債務者の費用負担によって第三者に管理させることができますし、また債務者に罰金を科すなどの処置が採られます。

まとめ

債務者に借金の返済に対する債務不履行があった場合、債権の回収を確保するには、債務者の所有する不動産に対する差押え手続きが有効です。差押えによって処分禁止効が得られ、時効が中断し、また保全処置を採れるようになります。最終的には不動産の競売によって、債権の回収を図れます。