相続した戸建住宅を売却した時は確定申告で特例適用してもらおう!
親が亡くなった時の遺産に、戸建住宅の含まれることが少なくありません。遺産相続における相続税の基礎控除は非常に高額であることから、相続税を納めるケースは滅多に起きません。ただ、戸建住宅の資産価値が基礎控除額を大幅に上回るほど高額だった場合、相続人は相続税を支払う必要が出てきます。

相続人に税金を納めるだけの資産があれば問題ありませんが、無かった場合は相続した戸建住宅を売却するしか手が無くなります。仮に、戸建住宅を売却すると、相続税の他に所得税の課税ということが生じます。

●戸建住宅の売却における譲渡所得

戸建住宅を売却した時に得られる所得を譲渡所得と言います。当然、譲渡所得があれば所得税が課されます。ただ、課税対象になるのは、売却金額から戸建住宅の取得にかかった費用(親が支払った購入代金など)や、売却にかかった費用(仲介手数料など)を差引いた金額です。

なお、戸建住宅の譲渡所得税は所有期間が短期(5年以下)の場合と長期(5年超)では税率が異なります。
・短期の場合:39.63%
・長期の場合:20.315%

●相続した戸建住宅の売却における相続税の取得費加算の特例

相続税には、「取得費加算の特例」という制度があります。相続した戸建住宅を一定期間内に譲渡して利益が出た場合に、相続税の一定金額を「取得費に加算」できます。従って、特例分の金額が所得から引かれるため、納める税金を減らすことができます。

「取得費に加算できる」相続税額は以下の式で算出されます。
・加算額:相続税額×(売却した不動産にかかる相続税評価額÷相続税額にかかる全課税評価額)

例えば、Aさんは父親から相続した戸建住宅を売却することにしました。Aさんが相続した時点での相続税額は6,000万円でした。
・6,000万円の基準となる全財産における相続税評価額:2億円
・相続税評価額2億円の内、売却する戸建住宅の課税評価額:1.6億円

上記の場合、取得費に加算できる相続税額は以下になります。
6,000万円×(1.6億円÷2億円)=4,800万円
従って、譲渡所得から4,800万円を差引くことができます。

なお、特例を利用したことで譲渡所得がマイナスになった場合は0円とされます。従って、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)になることはありません。つまり、特例を利用することで、他の財産に対する相続税まで減らすことはできないということです。

1.取得費
取得費とは戸建住宅の購入代金のことですが、取得費からは減価償却費を差引きます。これを「実額法」と言います。また、あまりにも古い不動産で取得費が不明な場合は、「譲渡金額×5%」を取得費とすることになります。この方法を「概算法」と言います。実額法と概算法のどちらか大きい金額を取得費とします。

2.譲渡費用
譲渡費用は譲渡のために支払った費用のことを言い、仲介手数料、登記費用、登録免許税、印紙税、立退料、測量費用などがあります。

●相続した戸建住宅の売却における特例の適用要件

特例を受けるためには、以下の2つの条件を満たさなくてはなりません。なお、売却先に対する制限は無いため、親族への売却でも特例を受けられます。
1)相続や遺贈によって取得した戸建住宅であり、相続税の課税対象になっている。
2)相続した戸建住宅を相続開始の翌日から、相続税の申告期限以降3年以内に譲渡している。

●相続した戸建住宅の売却における特例を受けるための手続き

特例を受けるには、以下の書類を添えて確定申告をする必要があります。
・相続税申告書の写し
・相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・譲渡所得の内訳、計算明細書

●まとめ

相続した戸建住宅を売却すると、高額な譲渡所得が発生します。必ず確定申告を行い、特例を適用してもらうことが肝心です。