不動産投資というと高額な資金が必要に思いますが、少額な資金で不動産投資のできる手法に、「不動産投資型クラウドファンディング」と「J-REIT」があります。どちらも、物件を購入する必要がないため、運用の手間がかかりません。また、家賃収入の中から、予定された利回りで配当金を得られます。
●不動産投資型クラウドファンディングとJ-REITの売買における比較
J-REITは不動産投資信託とも呼ばれていますが、東京証券取引所に上場しているため、株式と同じようにいつでも売買ができます。従って、資産の流動性が高く、現金化が容易になっています。
一方、不動産投資型クラウドファンディングの場合は、取得した権利を譲渡するには、自分で購入希望者を探さなければなりません。そのため、資金が固定化されることは否めません。
●不動産投資型クラウドファンディングとJ-REITの案件における比較
不動産投資型クラウドファンディングは一般的に、1ファンド当たり1件の不動産で運用されます。想定通りの運用ができると大きな利益が望めますが、1件だけのために何かあった時のリスクが大きくなります。
J-REITは複数の不動産で構成されているため、1ファンドで分散投資が図れるため、リスクが削減されます。ただ、ファンドの中に運用実績の悪い物件があると、利益が削られるというデメリットがあります。
●不動産投資型クラウドファンディングとJ-REITの価格変動の比較
J-REITは証券市場に上場しているため、その時々で価格が変動します。10万円で購入したJ-REITが15万円に上がったり、8万円に下がったりすることがあります。つまり、状況によって儲かる時があれば、損することも出るということです。従って、J-REITは株式取引のように、売買のタイミングの見極めが必要です。
不動産投資型クラウドファンディングは価格変動が無いため、募集開始時の価格で出資の是非を判断するだけです。
●J-REITと比較した場合の不動産投資型クラウドファンディングのメリット
不動産投資型クラウドファンディングのメリットには以下が挙げられます。
1.投資不動産の選択
不動産投資型クラウドファンディングは、運用する不動産の詳細な情報が公開されています。J-REITも公開されてはいますが、複数の物件が運用対象になっており、投資したくない物件が含まれていたからといって、それだけ省くことはできません。不動産投資型クラウドファンディングは、自分が任意に選択した物件のみ投資対象にすることができます。
2.優先劣後方式の採用による損失範囲の限定
不動産投資型クラウドファンディングは、ほとんどの運営業者が「優先劣後方式」を採用しており、出資者に損失の発生しにくい環境が提供されています。優先劣後方式とは、始めに出資者が運用物件に出資し、運営業者が出資者の資金だけでは不足する分を劣後出資という形で補填するシステムのことです。そのため、物件価格が値下がりしても、劣後出資を行った業者が先に値下がり分の損失を負うことになり、それだけ出資者に損失の出る可能性が減ります。J-REITの場合は、全てが自己責任になっています。
3.少額の出資金額
両者ともに少額の出資で投資できますが、J-REITは安くて3万円、高い場合は数十万円の資金が必要になります。一方、不動産投資型クラウドファンディングは、1万円から投資できることもあります。
●まとめ
不動産投資型クラウドファンディングとJ-REITにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが良いとは言い切れません。基本的に、流動性が高く売買しやすいのがJ-REIT、投資対象を吟味した上で投資できるのが不動産投資型クラウドファンディングです。また、不動産投資型クラウドファンディングは投資した後の手間が不要というメリットがあり、J-REITは分散投資が自動的に行われます。
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