古い戸建住宅を売却し、新しい戸建住宅に買い替えることがあります。なお、住宅が古くなると価値が落ちるため、購入した時よりも安い価格で売らざるを得なくなる時が少なくありません。売却によって損失が生じた場合は、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」によって、損失額を年間の所得額から控除してもらうことができます。

●特例が適用される戸建住宅の買い替えにおける条件

戸建住宅の買い替えにおける損失に対して特例の適用を受けるには、売却した戸建住宅と新規に購入した戸建住宅において、以下の条件を満たしていることが必要です。

1.売却する戸建住宅の条件

・国内に建っている戸建住宅である。
・売却した年の1月1日時点において、所有期間が住宅、土地ともに5年を超えている。
・住宅に居住していなかった場合は、居住しなくなってから3年目の12月31日までに売却する。
・複数の住宅を所有している場合は、主に居住している住宅の売却である。
・売却した相手が生計を一にする親族や直系血族などの特定の者ではない。

なお、売却する戸建住宅が店舗や事務所を併用していた場合、特例の対象となるのは居住用部分の面積にかかる損失額に限定されます。例えば、居住用の面積が住宅の60%だった場合は、損失額の60%分が特例の対象となります。

また、住宅と一緒に売却する土地の面積が500平米を超える場合、500平米を超える部分についての損失額の控除は1年限りです。

2.新たに購入する戸建住宅の条件

・売却する年の前年の1月1日から翌年の12月31日までの間に、国内で購入する。
・購入した年の翌年の12月31日までに居住する、若しくは予定である。
・登記上の床面積が50平米以上である(店舗や事務所と併用する場合は、居住用部分が50平米以上)。
・返済期間が10年以上の住宅ローンを組んで購入する。

新しい戸建住宅は購入が条件であり、贈与されたものは対象外です。

3.戸建住宅以外の条件

・繰越控除を受ける年の合計所得額が3,000万円以下である(給与所得だけの場合は年収が3,336万円以下)。
・売却した年以前3年間に、同様の特例の適用を受けていない。
・売却した年の前年または前々年に、他の売却において特例の適用を受けていない。

譲渡した年の損益通算においては、所得金額に対する条件はありません。

●繰越控除の内容

買い替えにおける損失額は売却した年以降3年間に渡って繰越せます。例えば、譲渡損失額が1,400万円だった際に、年間の所得額が毎年400万円だとすると、控除後の所得額は以下のようになります。
・譲渡年:400万円-1,400万円=-1,000万円
・2年目:400万円-1,000万円=-600万円
・3年目:400万円-600万円=-200万円
・4年目(控除終了年):400万円-200万円=200万円
3年目までは所得税が0円で、4年目のみ差額の200万円に対して所得税が課されます。

●住宅ローン控除との併用

繰越控除の特例と同時に、新たに購入した戸建住宅の住宅ローン控除を受けることができます。ただ、対象の所得税が0円だと控除する税額が無いため、上記の例で言うと、4年目からの適用になります。なお、住宅ローン控除の適用は居住した年から10年間ですが、上記の例の場合は実際に適用されるのは4年目~10年目までの7年間に減ります。

●確定申告の実施

損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けるには、確定申告をすることが必要です。サラリーマンの場合、2年目以降の住宅ローン控除に関しては、勤務先における年末調整で行われます。ただし、繰越控除の特例の場合は、必ず毎年自身で確定申告をしなければなりません。

●まとめ

古い戸建住宅の売却では高額な損失額の生じる可能性が高いため、必ず繰越控除の適用を受けるようにします。税金の納付を大幅に削減することができます。