近年はサラリーマンでも副業として不動産投資をする人が増加しています。不動産投資をする目的には当然、収入を得ることがありますが、中には節税に利用する人もいます。ただ、不動産投資で利益を得れば、それが所得になります。また、不動産投資の所得は給与の所得と合算されるため、超過累進税率によって余計に税金が高くなり、到底節税にはならないように思えます。
実は、不動産投資が節税に繋がるのは、不動産投資に係る経費が影響しています。
●不動産投資をした場合の所得税の節税効果
所得税というのは、課税対象となる所得に対して課される税金であり、課税対象となる所得は収入から経費を差し引いた金額です。
1.所得税の節税額
仮に、収入が給与だけであり、給与の課税対象額が800万円だったとします。800万円の所得に対する税率は23%です(控除額63万6,000円)。従って、所得税は以下の金額になります。
・所得税:800万円×23%-63万6,000円=120万4,000円
不動産投資では収入から経費を差し引いたものが所得になります。仮に、収入より経費の方が多かったため、120万円の赤字になっていたとします。この場合は損益通算と言って、給与の課税対象額から赤字の120万円を差し引くことができます。すると、課税対象額が680万円に減るため、税率も20%(控除額42万7,500円)に下がります。従って、所得税は以下になります。
・所得税:680万円×20%-42万7,500円=93万2,500円
つまり、差額の27万1,500円が節税できます。
2.不動産投資で節税できても手取りはマイナス
ところが、ここで単純な疑問が生じます。いくら27万円1,500円を節税できても、不動産投資で120万円も赤字を出しては財布に入る手取り額が減ってしまい、不動産投資をしない方がよほどましです。
しかしながら、そうでもないのが不動産投資です。それは、不動産投資の経費の中に「減価償却費」という項目が含まれているからです。減価償却費というのは、実際に現金を支払った経費ではなく、不動産の「価値」の減少分を金額で表したものです。
例えば、5,000万円で取得した建物でも、半永久的に5,000万円の価値があるわけではありません。年数を経るごとに価値が目減りします。その減った価値を経費として計上するのが減価償却費です。減価償却費は取得した年度に全額を経費として計上せずに、耐用年数で分割した金額を毎年経費として計上されます。
つまり、現金の支出が無いのに経費だけ計上されることになり、キャッシュフローの面ではプラスに転換していきます。
●不動産投資をした場合の相続税の節税効果
不動産投資は相続税の節税においても効果的です。親から不動産を相続すると当然、相続税が課されます。特に、相続したのが更地の場合は、土地評価額がそのまま課税対象額になるため、税額が高額になりがちです。そこで、相続した土地の上にアパートなどの貸家を建てると、土地の課税評価額が下がり、相続税を減額できます。
貸家付き土地の場合は、建物の固定資産税評価額に借地権割合と賃貸割合を乗じた価額が、固定資産税評価額から控除されます。
・貸家付き土地の評価額:土地の評価額-(土地の評価額×借地権割合×賃貸割合)
例えば、建物の固定資産税評価額が5,000万円、借地権割合が60%、賃貸割合が100%だった場合、評価額は以下になります。
・貸家付き土地の評価額:5,000万円-(5,000万円×60%×100%)=2,000万円
●まとめ
不動産投資は単に収入を増やすというだけではなく、税金の節税効果に繋がるというメリットがあります。また、不動産投資では減価償却費という経費を使えるため、キャッシュフローの面でも大きな効果を得られます。
コメント