不動産業者が不動産を販売する時には、必ず広告を出します。その広告に関しては、不動産公正取引協議会によってルールが細かく定められています。特に、販売できないような物件を「エサ」にして購入希望者を呼び込むような「おとり広告」に対しては、厳しく対処しています。おとり広告と見做されると、違約金の徴収や掲載中止などの処分が下されます。

●不動産のおとり広告とは

おとり広告と見做される物件の表示は、以下の3つです。

1.不存在:実在しない住所・地番の物件など
取引対象となる不動産が存在しないため、売買が事実上不可能となっています。

2.売買不可:売約済みの物件など
取引対象となる不動産は存在しますが、実際には売却ができません。

3.販売意思無し:広告外物件の勧誘
広告物件の販売意思が無く、他の物件だけを勧誘します。

 

●不動産のおとり広告に多い事例

おとり広告に多いケースは、購入希望者が食いつきそうな低価格の物件を契約済みにも関わらず、自社に呼び込むために掲載します。そして、購入希望者がその物件を目的に来社すると、『つい先ほど、売れてしまいました』と言って、他の物件を強引に勧めてきます。宅地建物取引業法(宅建業法)においても、以下の規定があります。

「著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない」

おとり広告に関しては、購入希望者も悪徳業者に騙されないように、広告内容や業者の対応を冷静な目で的確に判断することが必要です。まず、以下のような物件の広告の場合は、疑ってかかる方が得策です。

1.他社では絶対に見られないような条件
立地や間取り、設備など、他社の物件と比べて大差ないのに、価格が他社のものより圧倒的に安い物件

2.好条件で長期間の継続掲載
すぐに売れそうな好条件にも関わらず、いつまでも売れ残っている物件

3.現地での内見の拒否
物件の内見を依頼しても、色々な理由を付けて店舗での説明に終始される物件

4.住所の詳細情報が不記載
場所を確認できないように、番地までの住所の記載が無い物件

 

●意図せずにおとり広告になってしまう不動産の事例

タイムラグによって、意図せずにおとり広告と同様な形になってしまう不動産があります。物件が売却されると、業者は広告を修正しなければなりません。ただ、最近の物件の広告はチラシなどの紙媒体だけではなく、ネット広告が多くなっています。ネット広告の場合は週単位で情報を更新するのが一般的であり、更新する日程の前に売却がきまると、古い情報のままになります。

また、1つの物件に対して、複数の不動産会社が媒介契約を結んでいると、広告も複数の不動産業者から掲載されます。その場合、他の業者が物件を売却しても、その情報がリアルタイムで共有できずに、掲載が継続されるということが起きがちです。

●不動産のおとり広告とは見做されない事例

以下のような事例はおとり広告とは見做されません。

1.チラシを作成した時点では、物件が販売可能な広告

2.ネットを更新した時点では、物件が販売可能な広告

チラシの概要欄には広告作成日が記載されています。広告作成日の時点で物件が存在すれば(販売可能であれば)おとり広告にはなりません。

ネット広告の場合は、前回の更新日から2週間程度が更新の目安とされています。従って、月曜更新となっている場合、2週目の月曜までは同じ広告が載っていたとしても、おとり広告とは見做されません。

なお、電話での問合わせには「その時点の状況」での案内になるため、期限の猶予はありません。

●まとめ

不動産の購入は一生の内に一度あるかないかの、高額な取引です。おとり広告は犯罪ではありますが、取り締まりを待つのではなく、自分自身で見抜く目が重要です。甘い広告は予注意です。