戸建住宅における日当たりを原因とする訴訟問題まとめ

戸建住宅における日当たりを原因とする訴訟問題まとめ

時々、戸建住宅に住む住民が近隣に建築予定の高層マンションの販売業者に対し、日当たりが悪くなると言って『日照権の侵害』を訴える事件がニュースで報道されます。

日当たりが原因で起きる訴訟問題について記事にしました

目次

●戸建住宅における日照権とは

日照権とは俗に、日当たりの良さを確保する権利と解釈されています。ただ、「日照権」という権利が法律で定められているわけではなく、日照権を保護するために、いくつかの法律上の規制があるだけです。

●戸建住宅の日照権を保護する2つの規制

日照権に関わる法律には、建築基準法で定められている「斜線制限」と「日影規制」の2つがあります。

建築基準法とは違反建築を防止し、建築物と市街環境の安全を図ることを目的とした法律のことです。建築基準法に従って合法的に建物を建てることにより、周辺住民の日照権が守られます。逆に、建築基準法に違反した建物は日照権を侵害していると考えられるため、不法行為による建築の差止めや損害賠償の請求対象となります。

1.斜線制限

斜線制限とは、建物と建物の間の空間を確保し、道路や隣地の日照・採光・通風を妨げないため、建築物の高さを制限することです。その斜線制限には以下の3つがあります。

1)道路斜線制限
道路の幅に基づき、道路を挟んだ反対側の建物の日照などを確保するための制限です。規定の基準に即して引かれた斜線より下に建物を建てる必要があります。

2)隣地斜線制限
隣地に面した建物部分の高さが20m若しくは31mを超える部分についての制限です。主にマンションやオフィスビルが建つ場合に規制が適用されます。

3)北側斜線制限
北側隣地の採光や通風を確保するための制限です。

2.日影規制

中高層の建築物を建てる際に、隣接する地域の日照を確保するための規制です。1年で最も日の短くなる冬至の日(12月22日頃)を基準として、日影を一定時間以上生じさせてはならないと定めています。規制を受ける建物は、建築場所の「用途地域」や「高さ」によって決められます。

●戸建住宅の日照権訴訟における受忍限度

日照権を侵害されたことに対する損害賠償の請求や、建築差止めにおける裁判では、画一的な見解が出されているわけではありません。ただ、過去の判例を見ると、社会通念上の「受忍限度」を基準に判断されています。つまり、客観的に見て、社会生活を営む上でお互いに我慢せざるを得ない範囲かどうかが判断材料になります。

判例では、「生活の本拠地である1階和室、及び茶の間では、3時間程度の日影である」ことは受忍限度を超えていないと判断されています。

●戸建住宅の日照権と建築基準法

一定規模以上の建物は、建築の際に建築確認申請という手続きが必要です。建築確認申請は以下の手順で行われます。

1)着工前に、合法的な建物であるかどうか図面上でチェックされます。
2)建築確認申請が通ると建築確認済証が発行され、建物を建築することができようになります。
3)建物が竣工すると、建築確認申請通りに建物が建っているか再度チェックされます。
4)建築確認申請通りに建っていると、「検査済証」と呼ばれる書類が発行され、合法的な建物であることが証明されます。

このように、建物は着工前と竣工後の2回に渡ってチェックが行われるため、建築主が法律に違反していることはまずありません。つまり、自分の戸建住宅の前にマンションなどが建つ場合、建築確認申請が通っていれば、日照権は確保されていることになります。

従って、日照権を主張して建築の差止め請求をしたとしても、その主張が認められる可能性は非常に少ないと言えます。

●まとめ

マンションなどの高層ビルは建築基準法に則って合法的に建てられます。当然、日照権を阻害する建物は建築確認で却下されます。ちなみに、受忍限度内であるのに、それ以上のことを要求しても裁判所は個人的な「わがまま」と捉えます。受忍限度は個人的な主観になりがちですが、一般常識をわきまえることが大切です。

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