戸建住宅の契約前に支払う申込証拠金と契約時に支払う手付金を理解しておこう

不動産業者から戸建住宅を購入する時に支払うお金に「申込証拠金」と「手付金」の2種類があります。申込証拠金と手付金では、その性質や対応が全く異なります。

目次

●戸建住宅の購入における申込証拠金と手付金の支払時期

1.申込証拠金
戸建住宅を購入する際に、最初に支払うことになるお金が「申込証拠金(申込金)」です。申込証拠金というのは、買主が戸建住宅の売買契約を結ぶ前に、売主に対して購入の意思を示す証として支払うお金のことです。申込証拠金は予約の意味であり、購入希望の戸建住宅を押さえておくことが目的のため、支払わないこともあります。なお、申込証拠金には売主に対する法的な拘束力はありません。

2.手付金
「手付金」は契約成立時に買主から売主に対して支払うお金のことです。あくまでも、商慣習によって支払われるものですが、手付金には売買の当事者の勝手なキャンセルを制限する目的が含まれています。そして、手付金は特別な取決めをしない限り、法律上「解約手付」として扱われます。

●戸建住宅をキャンセルした時の申込証拠金と手付金の処理

1.申込証拠金
申込証拠金の金額に対する規定は何もなく、当事者間の合意で決めます。一般的には5~10万円ですが、当事者間の合意があれば数千円程度ということもあります。なお、申込証拠金を支払えばいつまでも戸建住宅を押さえておけるわけではなく、通常では7~10日になっています。

申込証拠金は物件の押さえが目的のため、約束の日にちを過ぎたり、キャンセルがあったりした場合は全額が返還されます。契約が成立すると、契約における費用に充当されるのが一般的です。

2.手付金
手付金の金額においても規定はありませんが、売買価格の5~10%が相場になっています(20%以上は法律違反)。そして、手付金には解約手付の意味がありますが、解約手付というのは契約が履行される前なら、買主と売主の双方に契約を解除する権利のあることを表しています。

1)買主によるキャンセル
買主は手付金を放棄することで契約を解除できます。
2)売主によるキャンセル
売主は受領した手付金を返還し、さらに手付金と同額のお金を買主に支払うことで(倍返し)、契約を解除できます。

なお、契約を解除した場合、両者ともに手付金以外に損害賠償の義務を負いません。従って、手付金以外にお金を要求されても断れます。

ただし、契約が履行される前であることが原則であるため、以下の場合は債務不履行として違約金を支払う必要があります。
・売主がすでに名義変更の登記を済ませている。
・買主が中間金を支払った、または引越準備を終えている。

●戸建住宅の購入における正当なキャンセル事由

手付金を無条件で返還してもらえる正当なキャンセル事由として、以下があります。
1.住宅ローン特約
戸建住宅の売買契約には通常、「住宅ローン特約」という要項があります。仮に、買主が戸建住宅の購入資金に充てるための住宅ローンを組めなかった場合、買主は無条件で契約解除が可能になり、手付金も全額返還してもらえます。

2.クーリング・オフ
戸建住宅の売買においても「クーリング・オフ」が適用されます。従って、仮設テントでの販売や、自宅や勤務先での訪問販売など、不動産業者の事務所以外での契約はクーリング・オフの対象になります。クーリング・オフが適用された場合は、手付金が全額返還されます。ちなみに、モデルルームは正式な不動産業者の事務所と看做されるため、クーリング・オフの対象外です。

●まとめ

戸建住宅の購入は非常に大きな買い物であり、手付金も当然、高額になります。予期せぬことで契約を解除することがあるため、契約を結ぶ時には念のため、手付金の取扱いの確認を忘れずに行うことが肝心です。特に、住宅ローン特約の付帯は必須です。

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