企業などが不動産を所有していると、その不動産の評価額が会計帳簿に記載されています。その価格を帳簿価額、通称「簿価」と言います。今回はその簿価について深掘りしたいと思います。

■簿価とは帳簿上の不動産の価格

簿価が価格であることは誰しも分かりますが、簿価が評価額であることを知らない人は少なくありません。不動産は一般的な商品と違って定価というものがありません。従って、その時点で販売価格が変わる時価になっています。そして、不動産を購入した時の費用が取得原価になり、取得原価には現物価格や媒介業者への仲介料、その他の諸費用が含まれます。

基本的に、取得原価が簿価になりますが、不動産は土地と建物では評価額の対応が異なるため、取得原価と簿価が常に同じというわけではありません。

■不動産の減価償却によって変化する簿価

土地というのは何年経とうが、形が変わるわけではなく、減ることもありません。従って、取得価格がずっと簿価として計上されます。一方、建物は年月を経るごとに老朽化し、購入時より価値が下がります。従って、価値の減った分だけ簿価の価格を下げなければなりませんが、その計算方法を減価償却と言います。

例えば、2,000万円の建物を購入し、20年間使用していたとします。建物は5年経った、10年経ったから価値が減るというものではなく、年々減少していくため、毎年少しずつ価値を減らすことになります。適正な減価償却は、投資家や銀行などが企業の資産を正しく判断するための材料として、必要不可欠になっています。

なお、減価償却はその年ごとに計算方法が異なっては、不動産の価値に対する正しい評価ができません。従って、最初に設定した計算方法を毎期継続して行います。

■不動産の簿価を決める減価償却の方法

減価償却の計算方法はいくつかありますが、代表的なものは以下の2つです。

1)定額法

定額法は、毎年一定の金額でもって均等に価値を下げていきます。例えば、3,000万円のビルを購入し、このビルを30年間均等額で減価償却することにします。その場合、毎年100万円ずつ減価償却すると、30年目でピッタリゼロ円になります。

しかしながら、この方法は使えません。それは、いくら30年経ってビルが古ぼけたとしても、価値がゼロになることはないからです。必ず、数百万円なり数十万円いう価値が残ります。従って、定額法を使う場合は最初に残存価格を決め、その残存価格を差引いた金額に対し、年数で割った金額を毎年減価償却していきます。

・残存価格
最終的に残る価値のことです。何年使っても最低これくらいは残るだろうと予想される価値や価格を示します
・対応年数
予想される建物の使用可能期間のことです。構造や素材などから予め年数が定められています。

上記の例では以下になります。
・取得原価:3,000万円
・対応年数:30年
・残存価格:取得原価の10%(300万円)

減価償却費の計算は以下になります。
(取得原価3,000万円–残存価格300万円)÷30年= 90万円
1年当たり90万円ずつ減価償却を行います。

2)定率法

定率法は、毎年同じ定率を掛けて原価償却費を算出します。定率法はその特徴から、始めに減価償却が多く行われ、年数の経過とともに減価償却が減少していきます。

例えば、以下の減価償却を行うとします。
・取得原価:2,000万円
・定率:20%

・1年目:2,000 × 0.2 =400万円
・簿価:2,000万円-400万円=1,600万円
・2年目:1,600万円×0.2=320万円
・簿価:1,600万円-320万円=1,280万円
・3年目:1,280万円×0.2=256万円
・簿価:1,280万円-256万円=1,024万円

ちなみに、定率法では永久にゼロ円になることが無いため、残存価格の必要がありません。

■まとめ

企業の会計帳簿に記載される不動産の簿価は、基本的に取得価格が使われます。ただし、建物の場合は老朽化によって価値が減るため、減価償却を行った評価額を簿価とします。減価償却の方法には一定の額を減らす定額法と、一定の率を減らす定率法があります。